アイラ島南岸、ダニヴェグ城の廃墟のすぐそばに佇むラガヴーリン蒸留所は、この島最古の蒸留所の一つです。その名はゲール語の「Lag a' Mhuilinn(製粉所のくぼ地)」に由来し、二百年以上にわたって、力強くスモーキーな伝統を守り続けてきました。
蒸留所の歴史
ラガヴーリンの起源は1816年、ジョン・ジョンストンによる合法蒸留所の設立に遡ります。翌年にはアーチボルド・キャンベルも隣接する敷地に別の蒸留所を建設し、後にこの二つは統合されました。十九世紀を通じて所有者を変えながらも、アイラ島の代表的な蒸留所として発展を続けました。
1988年、ラガヴーリン十六年は、ディアジオ社(当時ユナイテッド・ディスティラーズ)の「クラシックモルト・セレクション」に選ばれ、六つの代表的なシングルモルトの一つとして世界市場に本格的に紹介されました。これによって、アイラ・スタイルのウイスキーが国際的に広く認知される契機となりました。
製造方法
強くピーティな麦芽大麦を使用し、隣接するポート・エレン製麦所から供給を受けています。フェノール値はおよそ35〜40 ppmと、アイラ標準の中でも高い部類に属します。
発酵は最長75時間にわたる長時間発酵で、これがラガヴーリン独特の複雑さと甘みを生み出す要因の一つとなっています。蒸留には玉ねぎ型の小型ポットスチルが用いられ、ゆっくりとした加熱によって重厚な酒質を得ています。
熟成は主にアメリカンオーク製の元バーボン樽で最低十六年間行われ、少量のヨーロピアンオーク製シェリー樽も使用されます。
歴史的背景
十九世紀後半、当時としては珍しかった長期熟成の実践は、後のアイラ蒸留所群に大きな影響を与えました。ラガヴーリンは常に「重厚」「複雑」「時間の要する」ウイスキーの象徴として位置づけられてきました。
クラシックモルト・キャンペーンを通じて、それまでブレンド用と見なされていたアイラ・シングルモルトが、独立した鑑賞対象として広く受け入れられる転換点を作りました。
豆知識
蒸留所はダニヴェグ城の廃墟のすぐそばに位置しています。この城はかつてアイラのローズ・オブ・ザ・アイルズ(諸島の王)の本拠地であり、地域の歴史的中心地でした。
1885年、ウイスキー史家アルフレッド・バーナードは著書『The Whisky Distilleries of the United Kingdom』のためにラガヴーリンを訪れ、詳細な訪問記を残しました。
国際的な評価
ラガヴーリン十六年は、ワールド・ウイスキー・アワードをはじめとする数々の国際的な品評会で最高評価を獲得してきました。専門家の間では、アイラウイスキーを学ぶ上での「基準点」として繰り返し引用されています。
「ラガヴーリンは急ぐことのない蒸留所である。長い発酵、遅い蒸留、そして長い眠り — この積み重ねだけが、あの独特の重層感を生み出す。」